Fujii Kansuke
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藤井勘圿が描く自然の草花や野菜の絵は、誰が見てもそれと分かるものですが、私たちが見慣れたものとは違います。彼の作品の中には時間が存在しています。新鮮で輝いていたものが、その役目を終えると朽ち果てていくような時間の流れを感じます。ある美しい一瞬を捉えるのではなく、そこには喜びと苦しみ、美しいものとそうではないものが混在し、自然に現れて形作られているものが一様でないことを私たちに教えてくれます。また彼の代表作である猿を描いた「マシラ」シリーズも、共感を覚えるものです。30年以上も猿を観察してきたからこそ描ける猿の姿があります。人間と同じように喜怒哀楽を持ち、懸命に生きていて、けれど何にも束縛されない自由さも持っている。彼の「マシラ」を見ていると自分自身の人生を重ねることができます。
日本画家として特定の組織に属さず自分の描きたいものだけに取り組む姿勢、そして束縛のない作家活動は、彼が描きたい対象と真っ直ぐ向き合うためには必要だったのかもしれません。